野菜栽培をする方々にとって、鳥害は避けて通れない問題の一つです。特に、収穫を間近に控えた作物が鳥に狙われると、せっかくの苦労が水の泡になってしまうことも。
貴重な農作物を食い荒らされた場合、その被害は決して小さくなく、農家にとっては大きな経済的損失につながることも少なくありません。
こうした鳥害に対して、どのように対処すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、鳥害から大切な畑を守るための効果的な方法を紹介します。
鳥害とは?
「鳥害(ちょうがい)」とは、鳥が農作物や果樹などに対して与える被害のことを指します。具体的には、鳥が作物を食べたり、ついばんだりすることで、収穫量が減少したり、品質が低下したりする問題です。
鳥害は、農家にとって大きな悩みの種であり、特に果物や穀物、野菜などが被害を受けやすいです。
【鳥害の具体例】
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食害
鳥が果物や野菜をついばんだり、食べてしまうこと。
例)スズメが稲を食べる、カラスがトマトをつつくといった被害。
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フン害
鳥のフンが作物に落ち作物が汚れる、病気が広がること。
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発芽や苗への被害
鳥が種や発芽したばかりの苗を食べてしまい、作物の成長が妨げられる。
【被害を受けやすい作物】
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果物
ブドウ:ヒヨドリやムクドリが熟したブドウをついばむ。
サクランボ:ヒヨドリやカラスが特に好む果物。
リンゴ:カラスやムクドリが成熟したリンゴを狙う。
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穀物
稲(米):スズメが成熟した稲穂を食べるため、被害が多い。
トウモロコシ:カラスが実をついばむ。
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野菜
トマト:カラスやヒヨドリが完熟したトマトを狙う。
葉物野菜:キャベツやレタスは、ハトやカラスが食べることがある。
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豆類
エダマメ:カラスやヒヨドリが実を狙う。
ソラマメ:ハトやムクドリが好む作物。
【注意すべき鳥の種類】
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ヒヨドリ
日本全国に広く分布し、果物や野菜をついばむことで知られています。特に果樹園や家庭菜園に被害を与えることが多いです。
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カラス
非常に知能が高く、ネットや防鳥装置を突破することもあります。果物や穀物だけでなく、ゴミや他の食料も狙います。
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スズメ
小型の鳥で、特に稲や小麦などの穀物を食べます。群れを成して行動するため、被害が一気に広がってしまう場合も。
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ムクドリ
果物や種をついばむことで知られ、群れで行動するため、短時間で大きな被害をもたらすことがあります。
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ハト
キャベツやレタスなどの葉物野菜を食べることが多く、都市部でもよく見られるため、郊外の農地でも被害が報告されています。
鳥害対策:ネットや防鳥テープの活用
鳥害を防ぐための基本的な方法として、防鳥ネットや防鳥テープを活用することが挙げられます。物理的な障害物を使い、鳥が作物に近づくのを防ぎます。
【防鳥ネットの活用】
たとえば、小型のスズメを防ぎたい場合は、目の細かいネットを使用しましょう。特にカラスやヒヨドリは賢く、わずかな隙間でも入り込むことがあるので、ネットの端をしっかりと地面や支柱に固定し、強風で飛ばされないようにします。
また、ネットを使う際の注意点として、作物の成長に合わせてネットの高さや位置を調整しましょう。低すぎると作物の成長を妨げる可能性があり、逆に高すぎると鳥が簡単に潜り込むスペースができてしまいます。
【防鳥テープの活用】
鳥害対策:音と光を利用した方法
鳥害を防ぐための効果的な方法の一つに、音や光を利用して鳥を驚かせ、畑から遠ざける方法があります。鳥が畑に近づくのを防ぐための心理的な防御策として活用されます。
【音による撃退法】
音を使った対策として、超音波装置や爆音機があります。超音波装置は、人間には聞こえない高周波の音を発し、鳥に不快感を与えて近づかせないようにします。
一方、爆音機は突然大きな音を出すことで、鳥を驚かせて追い払います。ただし、これらの装置に鳥が慣れてしまうこともあるため、使用する時間帯や頻度をランダムに変えるなど、工夫が必要です。
【光による撃退法】
光を利用した撃退法としては、反射材やストロボライトの設置が効果的です。反射材は、太陽光を反射してキラキラと光り、鳥に視覚的な刺激を与えて遠ざけます。
CDやアルミホイルを畑に吊るすのも簡単で効果的な方法です。また、ストロボライトは、明るい閃光を放って鳥を驚かせる装置で、特に夜間に有効です。
鳥害対策:天敵の活用
鳥害を防ぐための自然な方法として、鳥が恐れる動物や鳥の存在を利用して、作物に近づかせないようにする方法があります。環境に優しく、持続可能な鳥害対策として注目されています。
【天敵となる猛禽類のカイト】
猛禽類(フクロウやタカなど)は、多くの鳥にとって天敵です。農地の近くに猛禽類が生息していると、害鳥がそれを恐れて近づかなくなります。
この特性を利用して、猛禽類の模型や置物、カイトを畑の周囲に設置することが有効です。これにより、鳥に本物の猛禽類がいると錯覚させ、近づかせないようにします。
猛禽類の模型や置物を設置する場合、効果を持続させるために、定期的に場所や向きを変えることが大切です。同じ場所に置き続けると、鳥が慣れてしまい、効果が薄れる可能性があるためです。
まとめ
鳥害対策にはさまざまな方法がありますが、効果的に鳥から畑を守るには、複数の対策を組み合わせることが重要です。
今回ご紹介した防鳥ネットや防鳥テープを使った物理的な障壁、音や光を利用した撃退法、さらには天敵を活用した自然な防御策を取り入れることで、鳥害を最小限に抑えることができます。
これらの対策を実践し、適切に管理することで、貴重な農作物を守り、豊かな収穫を確保しましょう。