暖冬と言われている昨今ですが、寒さが厳しくなる1月から2月は大雪が降る地域も少なくなく、想像を超える積雪に見舞われる年もありますよね。
大雪が畑に積もった場合の農作物に与える影響は計り知れませんが、畑で育つ野菜は雪がもたらす厳しい寒さや圧力に耐えねばなりません。
今回は大雪が農作物に与える影響と具体的な雪対策をご紹介します。
大雪が畑の野菜に与える影響
大雪の影響は季節や地域によって異なりますが、大雪が続く環境では以下の問題に注意しましょう。
・低温の影響
低温が続くと、野菜の植物組織が凍結し、霜が形成される可能性があります。植物の細胞が破壊され、葉や茎が黒ずんでしまうことも。
低温状態では一部の野菜は生育が停滞し、収穫までの成長が遅れ、品質が低下することがあります。
・雪の重み
大雪が積もると、その重みによって植物が圧迫され、茎や葉が損傷して場合もあります。雪の重みに耐えられない場合、茎が折れてしまうこともあるでしょう。
・湿度の変化
解けた雪が土壌に浸透することで、土壌中の湿度が急激に上昇します。根部に過度な湿度ストレスを引き起こし、根腐れのリスクが高まります。
・日照不足
大雪によって太陽光が植物に届きにくくなり、光合成の減少を引き起こします。十分な日照が得られないと収穫量や品質に影響を与える可能性があります。
具体的な雪対策
続いて、大雪による影響を最小限に抑える雪対策ををご紹介します。
①保温材の利用
寒冷地域での冷え込みから植物を守るために、マルチフィルムや不織布など、保温材の使用が効果的です。マルチフィルムを土壌の表面に敷くことで土壌の温度を保ち、霜や凍結から植物を守ります。
また、すでに保温ビニールでトンネルを設置している場合は、雪予報が出たタイミングでダンポールを追加で差し込み、補強することも忘れないようにしましょう。
さらに保温ビニールの上から不織布をかけると、より保温され雪対策になります。
②支柱や構造物の設置
ビニールトンネルを作ることができない大きさの野菜は、支柱を活用しましょう。
「合掌造り」という支柱の立て方がおすすめです。側面から不織布やビニールを覆うようにかけて雪よけにします。
また、毎年積雪が予想される地域の場合はミニハウスなどの雪が積もりにくい構造物を設置し、野菜を雪から守ることも良いでしょう。
③排水対策
畝の回りに溝を掘り、雪解け水の通り道を作りましょう。すると畝自体の水(雪)による被害を減少することができます。解けた雪が土壌に吸収されすぎないようにすることが重要です。
これらの雪対策を組み合わせることで、畑の野菜の成長環境を改善し、雪による影響を最小限に抑えることができます。畑の状況や地域の気象条件に応じて、最適な対策を選択しましょう。
雪で野菜を美味しくする方法
ここまで、雪が畑の野菜にもたらすネガティブな影響をご紹介しましたが、実は、雪を活用して野菜を美味しくする文化があるのをご存知ですか?
北海道や東北地方、日本海側では、毎年1mほど積もるような「雪国」と呼ばれる県もあります。そのような雪国では「雪下野菜」と呼ばれる野菜の楽しみ方が存在します。
「雪下野菜」とは、キャベツ・白菜・大根・ニンジン・ネギなど、冬場に旬を迎える野菜を、雪の中で保存して越冬させることです。
雪の中の野菜は、凍ってしまわないように栄養素を糖分へと変化させます。糖度が増した雪下野菜はえぐみが少なく、旨味がぎゅっと詰まった野菜に。
雪国ならではの方法ですが、このように野菜の性質と雪を上手く活用した方法もあります。雪も悪いことばかりではないですね。
まとめ
今回は、大雪が野菜にもたらす影響と、その対策方法をご紹介しました。四季のある日本は、様々な野菜が収穫でき、美味しく食べることができますが、各季節ごとに対策方法も異なります。
エコ・ファーム鳥取のある鳥取県でも、今年はたくさんの積雪がありました。野菜農家さんには少なからず影響が出てしまう積雪ですが、上手く対策をして冬を乗り越えていきましょう。